タイトル

・あきらめないがん治療外来について

「あきらめないがん治療外来」を始めています

当院のがん治療はエビデンスやガイドラインに基づいた「標準治療」※1をしっかりと患者さんに提供することを第一に考えています。

しかしながら、がん患者さんの中にはこのような「標準治療」を提供することが困難な患者さんが一定数おられます。例を挙げれば、PS(パフォーマンス・ステータス)※2が2以上の患者さん、超高齢の患者さん、間質性肺炎を合併した患者さん、臓器機能低下(肝、腎、心臓など)のある患者さんなどです。このような患者さんにおいては、通常の標準治療を行うことで副作用がひどくなってしまう可能性があり、逆に寿命を縮めてしまうこともあります。一方で、上記のような状況であっても、積極的ながん治療を強く望まれる患者さんも少なからずおられます。

当院ではこのような標準治療の適応になりにくい患者さんにも、あらゆる工夫、戦略を駆使して最善の治療を提供できるように日々精進しています。抗がん剤治療、免疫療法、分子標的治療などの全身化学療法に関しては、薬剤の選択やさじ加減を工夫することでよりよい治療が提供できるように最善を尽くします。また、当院は放射線治療の装置が充実しており、このような症例での照射の経験が豊富であり、たとえ全身化学療法の適応のない患者さんであっても放射線治療による局所の制御が患者さんの延命やQOL(quality of life)の向上につながることがあります。

このような背景もあり、当院では治療の適応がない、治療が困難であるとされた患者さんのためのあきらめないがん治療外来をスタートしました。まずは電話やメールで気軽にご相談ください。またがん看護専門看護師によるがん相談支援室はっちもご利用ください。

 

 

電話番号 078-304-5480(受診予約専用ダイヤル) 平日8:30~17:00
メール soudan@k-mcc.net

がん相談支援室

「はっち」

https://www.k-mcc.net/outpatient_dep.php#sc7

※1:科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者さんに行われることが推奨される治療

※2:全身状態の指標の1つで、以下のように日常生活の制限の程度を示す。通常、0・1は治療の適応あり、2はボーダーライン、3・4は治療の適応が困難とされる。

 

PS(パフォーマンスステータスPerformance Status

グレード0

無症状で社会活動ができ、制限をうけることなく、発病前と同等にふるまえる

グレード1

軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできる。例えば軽い家事、事務など

グレード2

歩行や身の回りのことはできるが、時に少し介助がいることもある。軽労働はできないが、日中の50%以上は起居している

グレード3

身の回りにある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の50%以上は就床している

グレード4

身の回りのこともできず、常に介助がいり、終日就床を必要としている

引用参考文献 国立がん研究センター がん情報サービス


1775460483-Sj7uG.jpgあきらめないがん治療外来担当 副院長・呼吸器腫瘍内科主任部長 秦 明登

 

当院では、肺がん治療を中心に標準治療を大切にしながら、患者さん一人ひとりに合わせて治療を柔軟に調整する診療を行っています。年齢、体力(PS)、合併症、生活背景、通院のしやすさ、ご本人の価値観によって「最適な治療」は必ずしも同じではありません。

私たちは、「治療を調整する」「治療をあえて行わない」「治療を強める」という選択肢も含めて、一緒に考える医療を大切にしています。

 

【当院の特徴】

標準治療を基本にしつつ、治療強度やスケジュールを柔軟に調整

高齢者・PS不良例・合併症併存例(間質性肺炎など)への個別最適化

標準治療+αの選択肢(治験・臨床試験、放射線治療、温熱療法など)

通院回数を減らした治療、入院を避ける選択肢

長期入院を念頭に置いた治療(原則、3か月まで)

他院で「治療が難しい」と言われた方の再評価

セカンドオピニオンにも対応

 


あきらめないがん治療外来 Q&A

Q1. 標準治療以外の選択肢も相談できますか?

はい。標準治療を大切にしつつも、年齢や体力、生活背景によっては調整が必要な場合があります。当院では治療を画一的に決めるのではなく、患者さんごとの状況に応じて複数の選択肢を提示し、一緒に最適な方針を考えます。

Q2. 高齢ですが肺がん治療は受けられますか?

年齢だけで治療を諦める必要はありません。体力や合併症、日常生活の状況を丁寧に評価し、無理のない治療を検討します。治療を弱める、間隔を調整する、経過観察を選ぶことも重要な治療の一部と考えています。

Q3. 仕事や日常生活を続けながら治療できますか?

可能な限り通院回数や治療時間を考慮し、生活との両立を意識した治療計画を立てます。すべての方に当てはまるわけではありませんが、治療と生活のバランスは重要な要素と考えています。逆に通院が困難な患者さんへ、長期入院を念頭に置いた治療(原則、3か月まで)も提供しております。

Q4. 他院で「治療が難しい」と言われましたが相談できますか?

ご相談ください。治療が難しいと言われた背景や理由を整理し、改めて治療の可能性や選択肢を検討します。治療を行わない判断も含めて、納得できる説明を心がけています。

 

・下記PDFも併せてご確認ください。(ぎょうけい新聞社編著 「明日の高齢者医療を拓く信頼のドクター2025年版」)