IVR(画像下治療)

IVR(画像下治療)

IVRとはInterventional Radiologyの略で日本語では「画像下治療」と訳しています。手術ではお腹や胸をあけて病気の部分を切り取り、皮膚を縫い合わせますが、IVRではお腹や胸を開けることなくカテーテルや針で直接病気の部分を治療しますので体への負担は非常に少なくて済みます。

IVR

令和元年のIVR症例数

IVR 件数
肝がんの動脈塞栓療法 89
中心静脈ポート留置 491
放射線用マーカー留置(肺・肝臓・その他) 172
透析シャント血管拡張術 37
生検・ドレナージ 38
その他(PICC、SVCステントなど) 35
合計 862

当院のIVR治療の特徴

肝がんの動脈塞栓療法

原発性、転移性肝がんともに治療を行っています。
特に転移性肝がんの治療は以下を満たすときに行っています。
 
 ①全身化学療法で効果がない、あるいは副作用が強く継続できない
 ②肝臓以外に転移巣がないあるいは転移巣はあるがよくコントロールされ肝臓の転移巣が予後決定する
 ③ほかの治療法の適応がない

患者さんは約1週間ほどの入院でほぼ1か月に1度の割合で治療を施行しています。使用する抗がん剤は全身化学療法で使用される抗がん剤を原則として使用しBeadという塞栓物質も使用し治療を行っています。全身化学療法にくらべて動脈から注入する抗がん剤量は1/4-1/2程度でかつ肝臓などで代謝されるため全身化学療法で副作用が強かった方もほぼ副作用なく治療できています。患者さんの中には腫瘍が小さくなったために放射線治療が可能となり当院で放射線照射を施行した例もあります。比較的効果の得やすい癌としては大腸がん、胃がん、乳がんなどです。

乳がん多発肝転移 乳がん多発肝転移
4回の治療後 腫瘍は全体に縮小 4回の治療後 腫瘍は全体に縮小

IVR-CTで安全に治療

たとえば肝臓がんの動脈塞栓療法では目的のがんには抗がん剤を十分に注入することが必要です。しかし癌周囲の正常な肝臓に流れると副作用が出るため、抗がん剤は癌を含めて最小限に注入する必要があります。さらには周辺臓器である胃や胆のうや膵臓などに抗がん剤や塞栓物質が流れると大きな合併症になることもあります。抗がん剤の注入前にはこれらについてCTによる確認が必要です。当院ではCTを併設した血管造影装置であるIVR-CTを使用して安全かつ確実な治療を実践しています。

中心静脈ポート留置

CVポートセンター

特徴

■電話で予約がとれます。紹介状は後からFAXで構いません。
受診予約専用ダイヤル:078-304-5480(直通)
連携室直通FAX:078-304-7782(直通)
■平日(月~金曜終日)常勤医2名が毎日対応。
■入院不要で日帰りで行います。
 IVR-CT室で超音波装置を使用して留置しています。
■出血、感染、閉塞などのカテーテルトラブルにも対応しています。
■病院間や施設間に限り送迎対応も行っています。

病院間や施設間に限り送迎対応も行っています。

CVポート留置の対象は

抗がん剤治療目的
抗がん剤治療を開始する方や末梢血管が乏しい方など
栄養目的
経口摂取困難で胃瘻、腸瘻造設ができない方。
長期間の高カロリー輸液が必要な方など

治療の様子

CVポート留置のメリット

■安全、安心に長期間のTPN(中心静脈栄養)、輸液や採血時のルート確保ができます。
これにより、患者さん身体的負担や看護負担が軽減できます。
■患者さんのQOLの維持・向上
■カテーテル感染の減少 体外へのカテーテル露出がないことでカテーテル感染が減少。
■短時間の術式。留置術は20分程で終了します。受付から会計・帰宅まで1時間程。

CVポート留置の留置部位について

鎖骨下からのアプローチで前胸部留置を基本としていますが、患者さんの状態に応じてアプローチ経路(内頚静脈、上腕静脈、大腿静脈など)、留置部位(上腕・前腕、大腿部など)へ変更する場合もあります。留置希望部位があればご指示ください。

CVポート留置依頼時のお願い

■抗血小板・抗凝固薬は可能な限り休止して行っています。 ※休薬が困難な場合はお知らせください。休薬せず慎重に手術を施行させていただきます。

休薬の目安 -薬剤名- 休薬期間
プラビックス、パナルジン 14日
バイアスピリン、バファリン、エパデール 7~10日
ワーファリン 4~5日
プレタール 3日
アンプラーグ、プラザキサ、イグザレルト、リクシアナ、エリキュース 2日

■血小板が5万以下の場合お知らせください。必要であれば輸血を行い施行いたします。

当センターにおける症例件数の推移

ポート留置Q&A

Q. 血液の逆血が確認できない場合、
原因や対処法は?

A. 原因は①カテーテル、ポートの血栓、②カテーテルの損傷・屈曲・逸脱、③その他が考えられます。
まずはレントゲン写真、ポート造影など施行し、②でなければウロキナーゼ6万U+生食20ml注入してください。
②の場合はポート抜去、再留置が必要です。

Q. ポート留置後の入浴や使用はできますか?
A. ポート留置当日からシャワー、入浴可能です。(術後48時間は創部が濡れないよう保護してください。)また、運動制限もありません。
ポートは留置当日から使用できます。

Q. ポート感染の注意点は?
A. ポート留置部や穿刺部に発赤や熱感、疼痛や浸出液などを認めた場合は局所感染の可能性があります。
ポート留置皮膚表面に異常がなく、原因不明の発熱や点滴時に発熱がみられた場合はカテーテル感染の可能性があります。
ポート感染(局所・カテーテル)の場合は抗生剤投与。抗生剤で軽快しない場合は抜去する必要があります。

Q. 採血、輸血、造影CTなどできますか?
A.【採血、輸血に関して】
採血時は10mlシリンジで5ml脱血後に採血してください。終了後は生食10mlシリンジで2回フラッシュしてください。
輸血時は20Gコアレスニードルを使用してください。
【造影CTに関して】
最近は造影CT対応の耐圧ポートが主流です。当院が採用しているポートはすべて造影CT対応可です。

Q. ポートはどのくらい使用できますか?
A. 一般的なタイプのポートの場合、22Gのノンコアリングニードルを使用して約1,000~2,000回の穿刺に耐えられるように設計されています。しかし、針の太さや穿刺の仕方にもよるので、何か気になる兆候があれば担当医にご相談ください。

その他、気になることなどありましたら、気軽にお問い合わせください。

CVポートセンター監修動画

CVポートセンター監修で動画を作成しました。
文字だけでなく実際の映像でよりわかりやすく伝わればと思います。

CVポート留置 ~受付後からの流れ~

CVポート留置 ~使用手順~

当センターのがん治療