ハイパーサーミア(高周波温熱治療)

ハイパーサーミア(高周波温熱治療)

ハイパーサーミア(温熱療法)治療器

2023年3月
ハイパーサーミア(高周波温熱治療)治療器
vinita THERMOTRON-RF8 GR EDITION 導入

ハイパーサーミア(高周波温熱治療)について

「がん細胞は熱に弱い」、この原理を利用して、がん細胞の温度を選択的に上昇させて、がんを死滅させようと考案された治療法です。

また温熱療法を併用することで、放射線治療、化学療法の効果を高めます。

放射線治療

がん細胞の放射線感受性を増感。

抗がん剤治療

がん細胞の抗がん剤感受性を増感。
抗がん剤の量を軽減できる。

免疫の活性化

体内の免疫(NK 細胞、インターフェロンγ、マクロファージなど)が活性し、がん細胞に対して攻撃性を発揮

QOL(生活の質)の向上

疼痛緩和、食欲増進などによるQOLの向上

ハイパーサーミアを受けられる方へ

特徴

  1. 治療効果の向上

    がんの種類に関係なく効果が得られ、放射線や抗がん剤に抵抗性のがんにも効果を発揮。

  2. 適応範囲が広い

    早期のがんだけでなく、再発がんや転移性のがんにも適応可能。

  3. 身体への負担が少ない

    副作用や後遺症が少なく、回数制限もありません。手術や放射線治療後にも施行可能。

42~44℃の加温による「がん組織の直接的な壊死効果」とともに、周辺組織も39~41℃に加温されることにより「宿主免疫の活性化効果」も期待されます。

対象や治療時間、費用について

対  象 脳、眼球、血液疾患を除く部位が対象。がんの種別、ステージ(初期、末期など)は問いませんが、患者さんの全身状態などをふまえて検討します。
※対象外については下記Q&A(治療が受けられない場合)を参照ください。
治療内容・時間 8回(1回40~50分の加温) 週に1~2回のペース
※患者さんの状態によって回数、時間を短縮する場合もあります。
治療にあたっての注意事項
  • 上半身の加温の場合は加温前の食事は控えましょう。水分は大丈夫です。
  • 治療前後は水分を十分に補給しましょう。
  • 身体に付けている金属製の物は治療前に取り外してください。
    (眼鏡、時計、指輪、アクセサリー、金属含む貼付剤、カラーコンタクト等)

    ※義歯は取らなくても結構です。

  • 加温中まれに身体が触れると通電することがあるため、医師・技師・看護師はゴム手袋をして対応しますのでご了承ください。
  • 加温中は、点滴架台や治療ベッドの金属部分に触れないようにしてください。
治療中のこと 熱感:温めている部位の周りがまれに熱くなることがあります。我慢できない熱感を感じたときは、技師や看護師にお知らせください。
発汗:治療中はサウナのような暑さのため、多量の汗をかくことがあります。患者さんの発汗状態により、送風や冷房を入れるようにしております。
痛み:温めている部位の周りにチクチクまたはピリピリといった痛みを感じることがあります。そのままにしておくと熱傷(やけど)になることがありますので、技師や看護師にお知らせください。
費  用 保険適応(2ヶ月8回まで)となります。
保険点数は一連(8回)で深部加温では9000点(3割負担:27,000円)、浅部加温では6000点(3割負担:18,000円)。
※別途、診察料や検査費用がかかります。
担当診療科 放射線科

予約方法、お問合せについて

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まずは現在の主治医へご相談してください。病院間で予約調整いたします。

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主治医へ申し出てください。

【お問合せ先】
  予 約 地域医療連携室  078-304-5480(受診予約専用ダイヤル)
  その他 温熱療法担当技師 078-304-4100(代表)

よくあるご質問

Q1:どんながんに効果があるのですか?

→A:理論上はあらゆる癌に有効ですが、実際には温めやすいもの・温めにくいもの様々です。
無作為試験で有効性を示されている疾患として、再発乳癌・メラノーマ(悪性黒色腫)・子宮頸癌・直腸癌・膀胱癌・頸部リンパ節転移などがあげられます。
これら以外でも脳腫瘍・肺癌・食道癌・肝臓癌・膵臓癌など殆どの癌で、有効であった報告がされています。

Q2:ハイパーサーミアは毎日できないのですか?

→A:体が温められると、熱ショック蛋白が産生され、熱耐性ができ熱に対して効きが悪くなるとされています。
熱ショック蛋白は加温後72時間以内で消失しますので、一般的に週に1回または2回のペースでハイパーサーミア治療を行います。

Q3:副作用はありますか?

→A:個人差がありますが、副作用が非常に少ないことがこの治療の特徴です。
まれに熱傷、脂肪硬結(皮下脂肪にできるしこり)、脱水などが挙げられます。
副作用を防ぐために、加温中に皮膚表面のピリピリ感や熱感を感じたら、技師・看護師にお知らせください。
脂肪硬結は1~2週間程度で自然に消失し痛みもなくなります。
脱水は治療前後にしっかり水分補給していただくことで予防できます。

Q4:治療が受けられない場合はありますか?

→A:下記に該当する方は治療適応外となります。

  • ペースメーカー、植込み型除細動器が入っている方
  • 加温部位にステントなど金属が入っている方 ※チタン製の場合は可能です。
  • 全身状態の悪い方、心臓や腎臓の機能が悪い方、多量の胸腹水を認める方など
  • 適応外の病気(脳や眼球と血液のがん)の方
  • 意思の疎通が困難な方
  • 妊娠中の方
  • 豊胸術後(シリコンバック挿入している)方など